熱海市某所より――
ご高齢の飼い主さまが急逝されたことで、飼い猫の引き取り依頼が舞い込みました。
年齢も病歴も、かかりつけ医があったのかさえも分からない状況です。
しかし、ご親族はこう言いました。
「動物にお金を出すことなんて到底できない。飼うなんてもっと無理だ」と。
さらに、「お金がかかるなら、このまま外に放す」と話し、命が遺棄される寸前でした。
私たちはなんとかこの子の命を救うことができました。
けれど、救えたのはほんの一歩です。
シェルターに入れるためには、病気の有無を確認する血液検査やウイルス検査、ワクチン接種が必要です。
そして、この先の飼養費や医療費も避けては通れません。
なぜ、飼い主の責任を他の誰かに転嫁することが許されるのでしょうか?
15年もの間、家猫として暮らしてきた子を外に放すという行為は、**「死ね」**と言うのと同じではないでしょうか。
何より、遺棄は犯罪です。どんな理由があっても、許される行為ではありません。
今回保護した子は推定15~16歳の女の子です。
血液検査の結果、健康状態に大きな異常はありませんでしたが、ウイルス検査ではエイズ陽性という診断が出ました。
どんな理由であれ、生きる命には医療が必要です。
もの言えぬ子たちにも、私たちと同じように平等に生きる権利があります。
「完全室内飼育」と「終生飼養」が当たり前の世の中になることを心から願っています。
この子に新たなチャンスを、そしてこんな悔しい現実が繰り返されない未来を、どうか皆さんと共に目指したいと思っています。